【10月25日まで】技術書典5で頒布した科学するコンピュータ将棋シリーズのweb販売を行います

締めきりました。ありがとうございます。

 

技術書典5で頒布した「科学するコンピュータ将棋」のweb販売を行います。

 

頒布物のアピール文

techbookfest.org

 

注意:技術書典4で頒布した科学するコンピュータ将棋を購入された方(現地、web販売問わず)は、科学するコンピュータ将棋LTS版は無料でアップデート可能です。頒布したDLサイトに最新のLTS版が置かれています。

 

注意2:今回は頒布物が2種類あります。お間違えのないようご注意ください。

注意3:圧縮形式の問題で一部環境でファイルが回答できないという問題がありました。お詫び申し上げます(現在は解決しているようです)

 

 

 

【おしながき】

科学するコンピュータ将棋LTS版(コンピュータ将棋の歴史や学習の理論が中心) ...... 700円

立ち読みはこちら(注:技術書典4で頒布した第一版です)

 

科学するコンピュータ将棋別冊Qha学習(最新のライブラリの導入や、今流行している学習手法の動かし方が中心) ...... 300円

立ち読みはこちら

 

【お買い求め方法】

1.amazonギフトメール(メールタイプ)をお送りください送り先は

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です

 

2.お買い求めいただく冊子をメッセージに添えてください

今回は700円の既刊、300円の新刊の2種類が有ることに注意してください。

 

3.アマゾンギフトのレスポンス機能を経由してDLコード、および、パスワードをお送りします。

注意:アマゾンギフトのレスポンスは一度しか打ち込めず、購入者の連絡先は私の方では解らない仕様です。私の操作ミスなどにより、正しくデータが届かなかった方は、お手数ですが上記メアドまでご連絡ください。

 

4.お問い合わせの際にはamazonギフト購入時の注文番号を添えていただけるとより迅速な対応が可能です

 

皆様、よろしくお願いします!

今の将棋ソフトはAlphaZeroを超えている件

AlphaZeroの論文は世界に衝撃をもたらしました。曰く、ディープラーニング強化学習で作られた評価関数は激烈に強く、囲碁だけでなく、チェス・将棋でも人間を超え最強のソフトを超えたと。

 

人間 vs コンピュータに終止符を打ち最後まで絶対的強さを魅せつけたPonanza、そのPonanzaをWCSC27で破ったelmo、そのelmoを90-2-8で破ったAlphaZero。elmoとのレート差は約400。コンピュータ将棋も終わった。

 

......と思ったかも知れません。あの時は。

 

しかし、AlphaZeroの論文(2017年12月発表)から1年も経たないうちその神話は終焉を迎えました。

 

レーティングサイト(/)のレーティング表からもお察しの通り、今の将棋ソフトのレーティングはelmo+400ぐらいの値が出ています。

 

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orqha0926はorqhaの最新バージョン(公開版orqhaに対してR+50くらい)です。測定者はロタさん、棋譜こちらからダウンロードできます。勝率88%。素のレートでいえばAlphaZeroより40程度低い値です。しかし、原著論文は

 

・AlphaZero(TPU)とelmo(CPU)の計算資源は費用比較だとAlphaZeroがかなり有利

・AlphaZeroの試合回数が100しかない(orqha vs elmoだって途中経過では156-1-14(91%)ぐらいの勝率は出てた)

・投了値がなぜか-900になっていて、終盤戦が出てこない

・elmoをElmoとtypoしてる

 

と言った問題点を抱えています(その代わりにorqhaの棋譜は持ち時間が大分短いわけですが)。

 

勝率差がここまで詰まっているのを鑑みれば、ハードの違いを加味すれば今の最強のソフトはまず間違いなくAlphaZeroより強いでしょう。

 

【以下、プロレス的な煽り文】

DeepMind恐れるに足らず。TPUにいくら使ったか知りませんが、その覇権とやらを打ち崩すのに6コア12スレのPCがあれば十分です。

ブレイクスルーだ、技術的失業、シンギュラリティだと宣いますが、巨人の肩を甘く見るからこういう目にあうのです(まあ、orqha自身がやねうら王、NNUE、illqhaの肩に乗ってるのは公知の事実ですしの)。

どうでしょう、DeepMindに材料開発部門ができたら私を雇ってみませんか?

 

【追記:露骨な宣伝】

AlphaZeroを恐らく超えているだろうNNUE関数のorqha。その開発者によるコンピュータ将棋の教科書が技術書典で頒布されます。

 

アピール文のページはこちら:

qhapaq.hatenablog.com

イベントのページ:

https://techbookfest.org/event/tbf05
https://techbookfest.org/event/tbf05/circle/53170003

 

良ければ足をお運びください。web通販も予定しています!

【技術書典に】コンピュータ将棋は戦国時代から存在していた!? 〜消えた酔象の謎〜【出ます】

一瞬バグかと思いましたが、なんと山口さんが記事を投稿してくれました。というわけで、タイトルの通りの記事を技術書典で頒布します。以下、頒布に至るまでのストォリイ。

https://twitter.com/ymg_aq/status/985850934944149506

 

 

山口さんとは囲碁ソフトの最強格であるAQの開発者であり、WCSC28で準優勝した強豪将棋ソフトPALの開発者でもあります。平たく言えば超大物プログラマです。

 

素晴らしいプログラマが記事を書く気になってくれてるのは大変ありがたいことなので、「是非お願いします。ギャラとしては最低でも肉を出します。ハイテク株で儲かりましたし」とリプライを送り「流石にムーは冗談やろ」と思いながら夏休みを過ごしてから暫く。

 

10月のある日、我々のもとに一つの怪文書が届いたのです。

 

(以下、記事の概要より、引用/抜粋)

コンピュータによる将棋ソフトのはじまりは 1975 年とされている。ところが実際にはその遥か以前、戦国時代からコンピュータ将棋は存在したのだという。はたしてコンピュータ将棋は何の目的でつくられたのか?
コンピュータと将棋を結びつける「象」の正体とは?我々は駒のルーツを追う過程で、コンピュータ将棋、さらには将棋の歴史の核心に迫った。その詳細をここにご報告しよう。

※:本コラムには科学的内容は含まれません

 

マジで記事が投稿されたのです。しかも、本当に醉象ネタで。

恐ろしいことに9ページ、約1万文字の超大作です。国語教科書の定番オブ定番、山月記ですら6500文字ぐらいなのに。走れメロスが約10000文字なのでメロスと同じぐらいか。何が起こってるんだ囲碁ソフト界。

 

というわけで、この本も技術書典に出ます。出します。何としてでも出します。

Qha学習を購入された方に無料で特典として付けます。単品では一応100円としておきます。

 

読んだ個人的な感想としては、将棋の歴史記事については「おおっ」と思う他、開発者的な知識に基づいた考察(?)とワードチョイスには嫉妬の念を抱かずにはおれませんでした。

 

本書が売れるほど山口さんにご馳走する肉のクオリティーが(多分)上がります。

 

 

名コラムは一日してならずというべきなのか、なぜムーを推し!?というべきなのか。

 

【リンク】

技術書店に関する本団体のアピール記事:

qhapaq.hatenablog.com

 

技術書典のイベントのページ:

https://techbookfest.org/event/tbf05
https://techbookfest.org/event/tbf05/circle/53170003

 

https://twitter.com/ymg_aq/status/985850934944149506

技術書典5でコンピュータ将棋本を頒布します in 池袋

来週月曜日の技術書典5にQhapaq開発チームも参加します。

 

イベントのページ:

https://techbookfest.org/event/tbf05
https://techbookfest.org/event/tbf05/circle/53170003

 

以下、頒布物について簡単に紹介をさせていただきます。

頒布物は全て電子書籍です。QRコード入りの紙を頒布する形式です

 

【科学するコンピュータ将棋LTS板(700円・85ページ)】

技術書典4で科学するコンピュータ将棋を購入された方は無料でアップデートできます

盤面の高精度評価や、高速な探索アルゴリズム、盤面評価関数の技術的進化やトレンドといった、コンピュータ将棋を支える技術に関する解説を行います。

Bonanza時代から、2018年のState of the ArtのNNUE関数まで幅広く扱った、コンピュータ将棋の教科書的な一品です。

 

立ち読みはこちら:

https://github.com/qhapaq-49/Kusokappa/releases/download/wabidlc/qhapaq_book_tachiyomi.pdf

 

【科学するコンピュータ将棋別冊 Qha学習(300円・45ページ)】

非公式レーティングサイトに於いて2018年9月時点でのState of the Artを持つ筆者による、現在流行っているコンピュータ将棋の学習技術や、将棋ソフトの応用、各種ツールの導入方法を扱った書籍です。

コンピュータ将棋の開発競争のスタートラインに立つのに便利な技術を、出来るだけ実践しやすい形式で解説していきます。

 

立ち読みはこちら:

https://github.com/qhapaq-49/Kusokappa/releases/download/wabidlc/qhlearn-tachiyomi.pdf

 

 

【その他アピール事項】

・将棋神やねうら王をお持ちの方については振り駒割を行う予定です

頒布物の購入価格が振り駒で出た歩の数 x 100円になります。(Qha学習のみお買い求めの場合はx 50円)。皆で先手を取ってQhapaqに沢山お金を払おう!

 

・会場販売限定ですが、レフェリー割があります

以下の本(名刺)を持ってきた方にはLTS版は200円引き(700円→500円)Qha学習は100円引き(300円→200円)にて販売いたします(マニア向け補足:割引の重複はありません。お許しください)

Short Coding ~職人達の技法~2007/8/9 Ozy、 やねうらお

Windowsプロフェッショナルゲームプログラミング2002/5/31 やね うらお

ひなた先生が教えるデバッグが256倍速くなるテクニック (Software Design Books) 2008/11/14 やねうらお

ショートコーディング 職人達の技法 2014/3/11 Ozy、 やねうらお

解析魔法少女 美咲ちゃん マジカル・オープン! | やねう解析チーム

やねうらお氏の名刺

Java将棋のアルゴリズム―アルゴリズムの強化手法を探る (I・O BOOKS) 2016/8 池 泰弘

Java将棋のアルゴリズム―アルゴリズムの強化手法を探る (I・O BOOKS) 2007/4/25 池 泰弘

コンピュータ将棋のアルゴリズム―最強アルゴリズムの探求とプログラミング (I・O BOOKS) 2005/2 池 泰弘

池 泰弘氏の名刺

 

・入場は無料です

技術書典は一般参加は無料です。ご安心ください。

 

・電王トーナメントのトロフィーを持っていきます

電王トーナメントのトロフィーの最大の特徴はガラス製ででかくて重いことです。持っていただくのは安全上難しいですが、撮影などを楽しんでいただけると幸いです。

※:会場混雑によってはチラ見になってしまうかも知れません。会場スタッフの指示に従うようお願い申し上げます。

 

・多分驚きの展示物があります

多分驚きの展示物があります

 

【web販売の予定について】

技術書典終了後にwebベースでの販売を予定しています。アマゾンギフトあたりを使うことになると思います。

将棋ソフトを用いた次の一手問題の自動生成

本稿は技術書典5にて頒布する科学するコンピュータ将棋シリーズの宣伝記事です。

 

大判解説などの将棋イベントで特に人気があるのが指導対局です。プロ棋士と実際に対局を行い、指し手の良し悪しについて幾つかのアドバイスを貰えるこのイベントは将棋の体験としても、また、棋力を上げる上でも非常に良いものです(*)。

 

しかし指導対局は何時でも受けられるわけではありません。最近では将棋ソフトはプロ並みの強さを手に入れては居ますが、奴らは只管に無慈悲であり只々負け星を積み続けることになります。

 

そこで、自分と似たような棋力の人間やソフトと戦い、その対局をソフトに振り返ってもらうことで擬似指導対局が出来ないだろうかと考えました。以下、そのやり方と結果についてご報告します。

 

【悪手を元に次の一手問題を作る】

筆者と似たような棋力の持ち主としてGameDesignの将棋Flashのレベル9と対局を行いました。棋譜の局面を一つずつQhapaqに評価させ、私と将棋FlashのCOMがドレだけ悪い手を指したかを可視化してみました。

 

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横軸が手を指す前の評価値(から計算された勝率)、縦軸が手を指した後の評価値です。私もソフトもかなりの数の酷い手を指しているのがわかります。

 

このままでは、感想戦というより指したほぼ全ての手をdisられるだけの処刑大会になってしまいます。

 

そこで、限りなく沢山有る悪い手の中から、指導に向いた局面を抽出することにします。以下のガイドラインに従い、検討するべき手を絞ることで、比較的教育的な悪手を引っ張ってくることが出来ました。

 

1.正解の手が一つに絞られている局面を使う(答えが複数ある複雑な局面を避ける)

2.悪い手を指した前後の局面を使う(プレイヤーが間違える程度には複雑な局面を使う)

 

【例題】

 

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穴熊の対抗系の終盤。双方の玉が危ないですが、此処で先手番が指すべき手は?

(答えは下に記載)

 

 

 

 

 

 

この問題の唯一の答えは26銀です。その他の手は17桂成、同香、39銀打、18金、38龍で寄り筋となってしまいます。26銀には47桂成から絡みつかれるのが怖いですが、26銀、47桂成、13金、同香、76角で龍を攻めながら先手を取ることが出きます。この局面の評価値は1200前後であり、相当先手が有利なのですが、受けの手を誤ると後手勝勢となります。

 

筆者はこの局面で44角と指してしまいました。ただし、相手のソフトも弱かったため上述の詰み筋に気付かず、最終的には勝つことが出来ました。twitterでこの問題を流したところ、恐らく私と似たような棋力の人が44角と答えてしまっていたので、教育的には悪くないのではないかと思います。

 

【今後】

web上にある棋譜を集める、ユーザ投稿するなどをして大量に棋譜データを集め、今回のような自動生成を行えば、毎日次の一手を呟くbotのようなものが作れるかも知れません。ソフトによる指導対局という新しい分野が切り開かれれば何よりです。

 

【最後に宣伝】

10月8日に開催の技術書典5に参加します。技術書典4で頒布した科学するコンピュータ将棋の改訂版と2018年流行の新技術を主に取り扱った別冊Qha学習を、それぞれ700円、300円で頒布します。

 

イベントのページ:

https://techbookfest.org/event/tbf05
https://techbookfest.org/event/tbf05/circle/53170003

 

githubにアップしたサンプル:

 Release 科学するコンピュータ将棋 サンプル · qhapaq-49/Kusokappa · GitHub

(特にQha学習は誤植が有る可能性が高いので見つけたら教えて頂けると助かります ><)

 

足を運んでいただければ幸いです。

技術書典4同様、webでの頒布も予定しております。リリース時期は未定ですが、遠方の方などにご活用いただければと思います。

 

(*) 余談ですが筆者は2014年の竜王戦の大判解説で藤井猛九段の指導対局を受けたことがあります。将棋界のスーパースターが来るとだけあって、参加希望者が異様に多く、少なく見積もって倍率5倍のクジを引きあてることに成功したわけですが、当時は其のありがたさがイマイチ解っていなかった気がします(結果は二枚落ちで挑戦して負け。21手詰が炸裂した瞬間にギャラリーが湧いていたのが印象的でした)

将棋ソフトから見る昨今の女流棋士の急激な成長

棋士ランキング(レーティング)のレーティング最下位は誰でしょう。

長きにわたってこの問の答えは「女流棋士」だったのですがそれも今は昔。2018年になってから女流棋士はそのレートを80超上げる急激な成長を遂げ、レーティング最下位の座を脱出しています。

確かに、女流棋士界で不動の王者である里見女流四冠の男性プロ棋士成績(巷でいう公式プロ棋戦)での勝率は3割弱であることを考えると、男女プロ棋士間に大きなレート差があることは間違いないでしょう。

とはいえ、同じ負けでも完敗と惜敗がありますし、年に数局しか組まれないカードだけで判断するのも早計というものではないでしょうか。そこで本稿では女流棋士棋譜を将棋ソフトを用いて解析することで、女流棋士の近年の成長を見ていきたいと思います。

 

【悪手率は大差ない】

今回はQhapaqを使って里見女流四冠の棋譜を解析してみました。Qhapaqを用いて手が指された前後の評価値の差を計算しその差分(悪手率)を見ることで、各プレイヤーがどの程度の割合で悪手を指すかを可視化しています。解析条件は豊島棋聖と永瀬七段の棋譜を解析したときと同じです。計算して得られた悪手率の比較(豊島棋聖、里見女流四冠と其々の対局相手の平均)がこちらです。横軸が手を指す前の評価値で縦軸が悪手率です。基本的に値が小さいほど悪手が少なく強いことになります。

 

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驚くべきことに、里見女流四冠の悪手率はプロ棋士で最強クラスのレーティングを持つ豊島棋聖とほぼ同じとなってます(*)。

 

(*) 詳細は省きますが点数ごとの悪手率だけでなく、全局を通じた悪手率の平均も大差ありませんでした

 

【一致率によるレーティングの再評価】

 悪手率だけで強さを見積もると、強さの順位は、豊島棋聖≧里見女流四冠>里見女流四冠対局相手>豊島棋聖対局相手となります。ただ、これは今までの対戦成績から来る予想とは大幅に異なります。各種棋戦でシードを持つ豊島棋聖の対局相手はプロ棋士の中でもかなりの上位棋士であること、里見女流四冠が昨年参加した奨励会三段で負け越していることを考えると、豊島棋聖>豊島棋聖対局相手>里見女流四冠>里見女流四冠対局相手となる方がより自然であると考えられます。

 

そこで、悪手率の代わりに手の一致率も比較してみることにしました。

 

・豊島棋聖:54.0%(15036/27842)

・永瀬七段:52.3%(8954/17106)

・豊島棋聖対局相手:51.6%(14348/27761)

・永瀬七段対局相手:51.4%(8704/16923)

・里見女流四冠:50.3%(4171/8290)

・里見女流四冠対局相手:50.2%(4163/8290)

 

一致率ベースの解析のほうが、悪手率よりも結果がより信頼できる印象を受けます。

 

【里見女流四冠の成長】

里見女流四冠の此処最近の躍進に敬意を払い、里見女流四冠の2014年以降の棋譜とそれ以前の棋譜で一致率を比較した結果がこちらです。

 

・里見女流四冠(2014-):50.3%(4171/8290)

・里見女流四冠対局相手(2014-):50.2%(4163/8290)

・里見女流四冠(-2014):48.8%(3318/6795)

・里見女流四冠対局相手(-2014):45.7%(3111/8290)

 

こうして比較すると里見女流四冠の此処数年での成長の著しさを見ることが出来ます。また、対局相手である他の女流棋士も成長をしている(ただし、2014年以降の棋譜には奨励会三段の棋譜が含まれるため、相当な底上げもされている)ことが示唆されています。どのぐらい強くなったのかを定量的に見るのは困難ですが、豊島棋聖や永瀬七段の勝率と一致率から予想するに、レートに換算して100は上がってるのではないかなと思います(これは正直ほぼ妄想ですが)。

 

【筆者によるポエム】

追記:将棋より数年先にソフトによる研究が隆盛しているチェス業界に於いて、新しい測定方法が示唆されたようです。次はこの手法を取り入れたレーティングをやってみたい所....です。

 残念ながらチェスの考察はvalidationがしっかりしていない、アルゴリズムの詳細が公開されていないなどハズレしか見つからなかったため諦めました。ただ、chess.comの考察でも一致率は使われており、推定レートと良い相関を示しているので一致率ベースの解析は基本路線として悪くないと考えられます。

 

YSSの研究でアマチュアのレート測定に絶大な効果をもたらしていた悪手率測定がプロ棋士のレート測定では脆弱である可能性が示唆されました。今回の研究の結果を見ると、悪手率よりも一致率のほうがプロ棋士のレート測定には適しているように見えますが、一致率こそ戦型の依存性が強いのではないかと考えていたので正直意外です。

豊島棋聖の研究でも、上位棋士は相手がソフト指ししてもジリ貧になるような戦型へ相手を誘導することに長けていることが示唆されているので、ソフトを用いたレート測定はまだまだ難点が沢山潜んでいそうです。

 

【宣伝】

技術書典5にQhapaqも参加し「科学するコンピュータ将棋」シリーズを販売します。今回から、LTSバージョン(数式やモデルなどを中心とした教科書的な解説)とQha学習バージョン(1年後にはゴミになってるかも知れないが、今流行している技術)をお送りいたします。詳細な宣伝ページは来週頃作る予定ですが、LTSは700円(そして前作購入者は無料)、Qha学習は300円を予定しています。

 

【宣伝2】

二次元婚活エンジンを作りました。16個の質問に答えることで、脳内で想像した二次元キャラをあてたり、オススメの二次嫁を教えてくれるサービスです(質問を心理テストに絞ったakinatorのようなものだと思うとわかりやすい)。現在絶賛教師データ募集中です。是非遊んで教師データを増やしてください

 

 

【宣伝3】

Qhapaq Research Labでコンピュータ将棋まとめwikiの作成を進めています。まだまだ記事を募集していますのでぜひご協力ください。

コンピュータ将棋纏めサイトの設立と記念評価関数(R4330)の公開

コンピュータ将棋の纏めサイトを設立しました。

https://www.qhapaq.org/

 

コンピュータ将棋に関する様々な情報を纏めることを目的としており、現在レーティング、wiki機能が実装されています。

 

また、公開を記念してillqhaシリーズを改造した評価関数orqhaを公開します。

ダウンロードはこちらから。

 

【成績】

dolphin1/orqha vs dolphin2/illqha2 145-104

dolphin1/orqha vs dolphin2/nnuekai6 418-398

 

nnuekai6とは拮抗していますが、illqhaにはnnuekai6より良いスコアで勝てているようです。

 

総合的には現時点までに公開されている評価関数よりレート20〜30程度上のようです。

今後もQhapaq Research Labは様々なコンテンツを公開していきます。どうぞ応援してください。

 

orqha絡みの棋譜棋譜ダウンローダのページから取得できます。

ロタさんの棋譜(測定を依頼した)のQh18xxxxシリーズがorqhaです。ファイル名のtypoの影響で名前が統一されていないですが、バイナリを調べることで問題ないことを確認しています。

 

# ソシャゲよろしく皆様の協力が集まるほど強い評価関数が公開されるシステムです。その気になれば4370ぐらいまでは出せるんじゃないかな....... wcscまでに4400の大台を超えたいですね