第28回世界コンピュータ将棋選手権の成り行き予想(4/1 ver)

エイプリルフールだし、WCSC28の決勝リーグへ行くソフト予想という全く当たらない類の予想をしても許されるだろうと言うことでダラダラ書いていきます。

「あのソフト無いよー」的なツッコミは多々あると思いますが、全ソフトについて書くと私の工数削減がマッハなので許してください

 

【今回の予想】

評価関数がある程度強いことを条件に、弱点の少ないソフトが勝ち上がりやすいと思います。これは技術共有により各ソフトのレート差が小さくなってきていることと、決着までの手数が長くなり小さい得を積み上げるような展開が増えてきており、定跡や読み落としに起因した事故からの復活が大会を重ねる毎に難しくなっていると感じているからです。

 

【決勝リーグに多分進むと思ってるソフト】

クジラちゃん

個人的には優勝候補。wcsc27でも計算資源の効率的な運用を以て、蒼天幻想ナイツ・オブ・タヌキなどを撃破していますが、今回は評価関数と定跡も独自調達するようです。個人的には一番隙がない相手だと思っています。

 

読み太

今回はクラスタ化をするそうです。独自実装の学習+depth 8/200億の教師ででwcsc27のelmoに75%勝つ程度の評価関数を用意出来ているので、やねうら王並み(もしかしたら以上?)の学習部を搭載していると考えられます。独自実装は格上を倒す可能性を上げると同時に格下に負ける可能性も増やすのですが、読み太がここぞという試合で負けたのを見たことがないので、今年も勝ち上がると思っています。

 

elmo

WCSC27では評価関数の公開とponanzaを撃破しての優勝のインパクトがありすぎて忘れられがちですが、開発者の棋力に頼らない定跡生成ルーチンを持ってる数少ない開発者の一人です。学習と定跡作りを同時にやろうとすると往々にして人や計算機などの資源が足りなくなるのですが、過去の実績を鑑みれば隙のない構築にしてくることでしょう。敢えて言うならsdt5でのelmoはとても運が悪かった(予選は後手ばかり引いてたし、本戦では読み太+まふ定跡に狙撃されるし、5位決定トーナメントでは永世後手のQhapaqに先手を譲るし)ので、それを引きずってないか心配です。

 

【以下、この辺のソフトが椅子をとり合うと予想】

Apery

depth 10のelmo絞り+aperyがあまり機能しないという極めて貴重な情報を提供してくれています。アピール文がメモ帳ですが、ここで紹介してるソフトの中では一番たくさん情報を出しているすらありえます。有志の強力を元に大量のデータを持っていること、これまでの成績的に学習部では高いパフォーマンスを出してくる可能性が高いことなどから、今回も注目株だと思います。探索部がsf9仕様になってたら言うことなしです。

 

たぬきCrazyShogi

 非線形関数を引っさげてくる勢。Ponanzaが示してきたようにディープラーニングはKPPTよりも高い精度で盤面を表現できることが知られていますが、計算効率でKPPTを上回るのにかねてより難がありました。たぬきチームは差分計算などの実装を頑張ることで高速化を、CrazyShogiは「んなこと知るか」と数の暴力で殴りかかることを考えているようです。

CrazyShogiはお値段100万円ちょいのTesla V100を8体連れてくるようです。たぬきチームは詳細は解りませんが、遂に所属企業を連れてきたので割とガチで来る可能性があります。こいつら頭おかしい

良くも悪くも線形計算でガラパゴス化したコム将棋界でディープラーニングベースの評価関数が簡単に計算効率で勝ち越してくるとは思いませんが、WCSCには計算資源制限はないし、並列化とニューラルネットの相性の良さを考えると脅威ではあります。

 

nozomiHoneyWaffleQhapaq

sdt5後の学習のメタゲームはelmo絞りから変化していません。インフラの改善が大きなウエイトを占める状態では開発者の経験に基づいた隙の無さと手の広さ(評価関数、探索部、定跡、高速化など伸びる要素に手を出すこと)が重要です。nozomiはミリオンファイターとしての長い経験が、HoneyWaffleは振り飛車というブルーオーシャンに相手を引き込むことで、こうしたゲームを上手く制することを助けると思っています。Qhapaqは正直隙だらけなのですがAperypaqより一応強い評価関数を作ってるので、外がサボってれば勝てます。

 

PALYorkiesHafeweizen

恐るべき新人。PALはコンピュータ囲碁界のAperyことAQの開発者のチーム、Yorkiesはsdt5でやねうら王の大幅な高速化に成功したチーム、Hafeweizenはsdt5の準優勝ソフトshotgunと13位の人造棋士18号の連合チームです。独自手法について深くを語ってはいませんが(PALは囲碁ベースの学習、Yorkieは並列化と高速化、Hefeweizenは未定らしい)飛び抜けたスキルを使って虎視眈々と上記ソフトの暗殺を狙ってくると思います。

 

monkey magic再び?】

wcsc27ではmonkey magicというソフトがfloodgateで謎の高レートを成し遂げていました(ちなみに正体はwcsc27優勝ソフトのelmoだった)が今年も唐突にヤバイソフトが出てくる可能性はゼロではありません。今のfloodgateの参加ソフトは評価関数やハードが明らかでないものが多く(最も、明らかにしてるソフトも自己申告ですが)レートの正確な推定は難しいと思っています。i9のaperypaqなどを有意に倒しているようなソフトは今の所いませんが、floodgateの旬は4月なので今後の動きに注目です。

注:といっても開発者はこの時期は最後の調整が忙しすぎてfloodgateを見てる暇は概ね無いのですが

 

【結論】

よくわからん