羽生三冠の通算勝率を5割にするのってプロ棋士のルール的に無理じゃね?

皆様知っての通り、羽生三冠はとても強いです。将棋連盟のホームページによるとこの記事の執筆時点で通算成績は1379-552だそうです。長く現役を続け、かつ、タイトルに近づくほど相手が強くなる中でこの成績をキープするには並々ならぬ努力を続けていることと思われます。

 

通算100タイトル、永世七冠など将棋ファンなら羽生三冠がどこまで記録を打ち立てるかに目が離せないと思われますが、ふと、逆に、ここから羽生三冠が全力で将棋をサボった場合、果たしてどこまで成績を下げられるのかが気になりました。

 

勝率を5割に戻すためには、現時点で827連敗しなければいけないそうです、果たしてそんなことは可能なのでしょうか......

 

注:以下、そんなに真面目に計算はしていません。興味を持たれた方は是非、ご自身で計算してみましょう(あと、結果教えて欲しいですw)

 

【愚直に連敗すると勝率5割になる前に引退してしまう】

一番愚直な戦略として、出る対局全てで負けてもらうことにします。玲瓏(ファンサイト)を見た所、羽生三冠は年間50-60局程度対局しているようです。これに全て負け続ければ、15年後に勝率が5割になります。将棋はゲームの性質上、全棋士の勝ち負け数の和は同じになるはずなのですが、15年間負け続けても大丈夫なほどの勝ち越しって一体何なのでしょう。

しかし、名人戦で連敗を続けるとA級棋士の場合、9年でフリークラスに落ちてしまいます。そして、60歳の時点でフリークラスに居ると強制的に引退となってしまいます。

羽生三冠は現在46歳。此処から先の全ての試合を負け続けたとしても、14年後には引退となってしまいます。負けると対局数も減るという致命的な補正を無視してもなお、勝率5割になるには後1年足りないのです。

負け続けても勝率が5割になる前に引退になってしまうという言葉の響きがパないですが、兎に角ただ負けるだけではダメなのです。

 

【真の敵は寿命】

単純な対局ボイコットでは勝率5割にならない以上、名人戦だけはフリークラスにならないようにしながらできるだけ多くの対局で負け続けることを考えます。

後1年余分に負ければいいかといえばそうでもありません。なぜなら、クラスが落ちるにつれて対局数が減ってしまうからです。ひふみんの此処数年の成績から推察するに、凡そ年20局程度まで減ってしまうようです。

できるだけ多くの対局で負けるために、意図的に一部の試合に勝つという手は使えないでしょうか。

現在の将棋タイトルはトーナメント戦やリーグ戦からなります。トーナメントであれば、初戦で負けるのが勝率を下げる上では最適解です。王将リーグなどは入れれば負け星を稼げるのですが、これをやるには相当な数のトーナメント型の予選を勝ち越さなければならず、結局予選のトーナメントで負けるしかありません。試合を勝ち進むことで負け星を増やすことはどうやら難しそうです。

更に、前述のようにフリークラス行きを避けるためには、C2リーグで4勝程度はしなければなりません。以上を纏めると、4-16程度の負け星で800超もある勝ち星を埋め立てていく必要があります。

A級からC2に行くまで全負け(この間にどれだけ対局が組まれるかは定かではありませんが、此処では平均30局(恐らく多く見積もり過ぎ)とし240連敗出来たと仮定します)、C2+刺青x2になってからはフリークラス行きを避けるように4-16の星をキープするとしましょう。

827 = 240 + 12 * X。 勝率5割になるにはX+8年の歳月が必要です。X=49。即ち57年後に勝率が5割になるようです。103歳まで対局を続けて勝率がやっと5割になるって、何を言ってるか解らないと思いますが、ありえなくもないと思えるのは私だけでしょうか。

 

永世竜王ループ】

改めて見ると、特に厄介なのは強制引退を避けるためにC2で4勝しなければならないことです。年間対局の半分を占める順位戦で半分ぐらいの試合に勝たねばならぬのは勝率を下げる上でとてつもなく邪魔なのです。仮にこの縛りがなければ(年間負け星を20稼げれば)、X=30となり、84歳で目標を達成することができます。

そこで、フリークラスの規定を見直すと、とてつもなく良いことが書いてありました。

 

今泉健司四段、 フリークラスからC級2組へ昇級|将棋ニュース|日本将棋連盟

より引用

 

【フリークラスからC級2組への昇級規定】フリークラスからC級2組への昇級規定は以下のうち一つを満たした場合です。ただし、「年間」は4月1日から翌年3月31日まで。宣言によるフリークラス転出者は除きます。
1.年間対局の成績で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割以上。
2.良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上であること。
3.年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。ただし、同じ棋戦で同一年度に2度(当期と次期)対局のある場合も1棋戦として数える。
4.全棋士参加棋戦優勝、タイトル戦挑戦。

 

棋戦優勝。これです。

例えば今年の竜王戦で優勝して永世竜王になってもらうとしましょう。この場合、来年はチャンピオンとして竜王決定戦にだけ出ることになります。ここで4-3で竜王を防衛してもらいます。

するとどうでしょう。全棋士参加棋戦優勝の称号が手に入るではないですか! 相対的な負け星をわずか一つ削るだけで!!!

 

改めて纏めると

1.竜王竜王じゃなくても、チャンピオンによる防衛戦の概念がある名人以外の棋戦の王者なら良い)になる

2.他の棋戦は全て負ける

3.竜王だけ4-3で防衛し続ける

4.フリクラに落ちても竜王防衛の力でC2にすぐ戻れる

5.年間20程度、相対的な黒星を稼ぐ

6.これを84歳ぐらいまで続ける

 

寝言は寝て言えと言いたくなる超がつくほどの糞ゲーですが、上記二つの戦略に比べればきっと現実的でしょう。

 

通算勝ち星800超えの壁は厚かった!!

 

【勝率といえば】

現在コンピュータ将棋で流行しているelmo式の学習は、深く読んだ評価値と局面の勝率を教師に浅い読みの評価値を補正していこうという戦略です。評価値が低いのにコンピュータの読み筋にしたがって指すと勝ててしまう様な局面の評価値をちゃんと高くすることがelmo式の肝ともいえます。

実は(という程でもないけど)elmo式の効果は適当な盤面を初期値に勝率を計測することで可視化することが出来ます。下のグラフはaperyの学習機に付属された局面の評価値と、そこから戦わせた時の勝率のグラフです。

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評価値0付近にエラーが大きいことが解ります。恐らく、相手玉の詰む詰まないを正しく読めていないのでしょう。

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これがelmoだとこうなります。短い持ち時間ではqhapaqはelmoよりも強いのですが、盤面全体のブレの小ささではelmoが上を行っており、これが長い持ち時間での強さの秘訣になっていると思われます。

という現象を理想的にはrelmoやまふ関数などで検証するべきなのですが、面倒なので手が出せてないです orz

 

さて、こうした将棋学習理論の詳細やコンピュータ将棋の最先端のぶつかり合いが見たい人は、是非、電王戦もよろしくお願いします(私もQhapaqとして参戦します)

(言い訳程度のコンピュータ将棋要素)