後手番でやたら早繰り銀をやりたがるQhapaqの一手損定跡を公開します
四間飛車検証の途中ですが、竜王戦が近いということでQhapaqに一手損を研究させていました。
研究の結果、やたらと早繰り銀をやりたがる定跡が完成しましたので、ここに公開します。
https://1drv.ms/u/s!Ag5CrRBmeQHym1zqL3m1rtKNKQNv
【使い方】
やねうら王のstandard_book.dbを差し替えてください。
やねうら王Quagaをお持ちの場合はquantumbookを、そうでない場合はnarrowbookをonにすることを推奨します(多分offだと弱い)
76歩、34歩、86歩、88角成を初期局面として定跡を作っています。一手損以外の定跡は持たせていません。
WCSC参加者が大会で本定跡を使うことも可能です。詳しくは
やねうら王系列最強(?)のQhapaq定跡を公開します(二代目)[12.18マニュアル更新] - qhapaq’s diary
をご覧ください。
【特徴】
もともとの一手損は後手勝率が43%弱であり、ノーマル四間飛車程ではないにしても、後手にとって良い戦略とは言えない(とQhapaqは思っている)ようでした。
しかし、量子ガシャと定跡スナイパー理論を用いて、
vs 定跡off 1938 - 177 - 1640(46%)
vs 大定跡 1949 - 163 - 1665(46%)
vs 真定跡 1904 - 174 - 1790(48%)
まで勝率を高めることができました。
Qhapaqでの後手勝率は47%強であるため、 後手番戦略としては許されるレベル...かもしれません(先手も最適化すればまた後手の勝率は下がるでしょうけど)。
【やたら早繰り銀をやりたがる件】
表題の通り、河童一手損定跡はやたらと早繰り銀をやりたがる傾向にあります。特に先手が早繰り銀をやる場合、腰掛け銀ではなく相早繰り銀にしたがるようです。
76歩、34歩、86歩、88角成から
42銀、25歩、33銀、48銀、62銀、77銀、32金、36歩、74歩、37銀、73銀、78金、84歩、68玉、85歩、46銀、64銀、58金、52玉
一手損相早繰り銀は今年の竜王戦では出てきましたが、素人観る将にはあまり縁のない形です。でも、Qhapaqは後手でも早繰り銀が好きなようです。加えて、Qhapaqは後手の玉をやたらと52に置きたがります。
相手が腰掛け銀の場合は52玉はやりにくいらしく、42に玉を動かしてきますが、早繰り銀なら兎に角52に玉を置きたいらしく、相手の銀の態度が決まるまで玉を動かさないぐらいの心意気で52に玉を置きたがります。
Qhapaqに長時間読ませたところ、この局面自体はほぼ0点で互角だそうです。
上記局面からの後手の勝ちパターンは幾つかありますが、基本的に攻め合いに持ち込み飛車先の突破を目指します。52玉、61金の意味が解りやすい例を一つ紹介します。
上の図から、66歩、75歩、同歩、同銀、76歩打、86歩、同歩、同銀、同銀、同飛、87歩打、76飛、77銀打、72飛
この局面でQhapaqに長く読ませると-400ぐらいで後手が良いと言っています。ここで先手の候補手は83角打と出ますが、飛車には紐がついていますし、72角成、同金の局面では先手には飛車を打つスペースがありません。かといって、2筋を突破しても後手玉は遠く、後手からは76歩という解りやすい攻めがある上に角の打ち込みスペースも豊富であるため、後手やりやすいということなのでしょう。
実際の棋譜はここから83角打、76歩打、88銀、71飛、35歩、同歩、同銀、74銀打以下、後手が快勝しています。
一歩間違えれば後手玉は即座に崩壊するので怖くはありますが、一手損には先手早繰り銀としてくる相手をシンプルな攻めで殴り倒せる魅力的な戦法なのではないかと期待しています。
【追伸:Qhapaqの勝利局集について】
勝率測定用に使った棋譜が全部で15000局ぐらいあり、これら全てをアップロードすると貧弱な河童ハウスの回線は潰れてしまうため、ネット回線を確保し次第の公開となります。同時に、将棋guiでのコンピュータ将棋同士の対戦の棋譜ファイルの中から先手/後手がうまく指した(一定以下の点数を出さなかった)棋譜を抽出するツール、bookmakermakerも公開予定です。お楽しみに。